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ある糖尿病、高血圧患者さんのライフスタイルを考える・・・1年の多くの時間を海外で過ごす患者さんの場合
2014年7月19日

ある糖尿病、高血圧患者さんのライフスタイルを考える・・・1年の多くの時間を海外で過ごす患者さんの場合

こんにちは。院長の釜萢です。

2~3か月に1回帰国し、当クリニックを受診。診察、検査をうけ、薬をもらってまた海外に戻っていく糖尿病、高血圧患者さんがいる。

当クリニックを受診する前は、もっとたくさんの薬を飲み、血糖コントロール、血圧コントロールなど、もっと悪かったとのこと。本人は現状が以前より良いことを自慢しているが、決して楽観視できる状況ではない。

当然ながら、治療は非常に難しい。まず海外の食文化が、糖尿病、高血圧患者にはあわない。そのため、海外で生活しているうち、こちらで話した内容が感覚的にわからなくなってくるらしい。

次に、長期間帰国しないため、長期間の処方をせざるを得ない。この薬が果たしてちょうどよい量なのか?おそらく、それぞれの国で食べる量や内容が違うため、処方した薬の量もちょうど良い国、少ない国、多い国があるのではないか。それを確認するすべもない。

最後に、これが一番問題のように感じるが、病気の怖さが分かっていないこと。診察室で、検査データを見せながら、その意味を説明するのだが、危機感が伝わってこない。そして実際、今回の受診は、薬がなくなってから2週間もたってからのことだった。

果たしてこのような患者さんに、どのような治療をすべきだろうか。そもそも治療をすべきか、というところから始まるのかもしれない。いろいろ考えた結果、できるだけ生活に支障の出ない治療が良いだろうと思った。

まず、面倒な治療は患者さんが長続きしない。やはり治療は継続してこそ意味がある。そしてもう一つは患者さんにとっての幸せは何かということ。たしかに糖尿病の合併症は怖いけれど、それが分からない患者さんに、生活するうえでの様々な制限を加えるのは、苦痛以外の何物でもない。

診断、治療にはガイドライン(一般的に基準となるもの)がある。そうはいっても、それは国内で標準的な生活をし、多くの人たちと同じような価値観を持った人にあてはまるものだろうと思う。すべての人に最適な唯一の治療法はないように思うので、その人のライフスタイル、バックグラウンドを把握したうえで、話し合って決めていくのが現実的だろう。

(患者さんの年齢、性別、症状などは、個人が特定されないよう、変更して記載している場合がございます。ご了承ください。)

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院長経歴(プロフィール)

かまやち内科クリニック院長。元慶應義塾大学病院 腎臓内分泌代謝内科所属。予防医学医。 専門は、糖尿病・高血圧、その他の生活習慣病(脂質異常症、痛風(高尿酸血症)など。オーダーメイドの診療を心がけています。医療現場の真実と向き合い、医療のあり方を一緒に考えていきたい。ひとりひとりの幸せな人生に寄り添い、病気と闘い続ける医師でありたい。そんな想いを込めて日々、走り続けています。