甲状腺科

ここでは、患者様の多い疾患のみ、取り上げることにします。

(1)バセドウ病

 甲状腺機能が亢進する、甲状腺の自己免疫疾患です。

(a)主要症状
・体重減少(10%の患者様では、体重増加)
  ・倦怠感、易疲労感
  ・活動性亢進・易刺激性・不眠
  ・動悸、息切れ、頻脈(心房細動など)
  ・多汗(暑がりになり、安静にしていても汗をかきやすくなる)
  ・排便回数の増加、下痢
  ・筋力低下

(b)身体所見
  ・甲状腺腫
  ・眼球突出
  ・頻脈
  ・振戦(手指が細かく震える)
  ・下肢の浮腫

 (c)検査
 血液検査:TC↓、ALP↑、fT3↑、fT4↑、TSH↓、抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性
 放射性ヨード(123I, 99mTC)シンチグラフィー:びまん性の取り込み、摂取率↑

(d)治療
  ・抗甲状腺薬療法
  ・放射性ヨード治療
  ・甲状腺手術

(2)橋本病(慢性甲状腺炎)

 甲状腺機能が低下する、甲状腺の自己免疫疾患です。

(a) 主要症状
 ・びまん性甲状腺腫大
 ・前頚部違和感
 ・浮腫、体重増加
 ・易疲労感、寒がり、皮膚乾燥、発汗↓
 ・便秘

(b) 身体所見
 ・びまん性甲状腺腫大
 ・浮腫
 ・徐脈、心拡大
 ・皮膚乾燥
 ・腱反射遅延
 ・傾眠、動作緩慢、難聴、低体温

(c) 検査
 血液検査:T-Cho↑、CK(軽度↑)、LDH(軽度↑)AST(軽度↑)ALT(軽度↑)
    fT3↓、fT4↓、TSH↑、抗マイクロゾーム(TPO)抗体陽性、抗Tg抗体陽性
 穿刺吸引細胞診:リンパ球浸潤

(d) 治療
  甲状腺ホルモン (経口)補充療法

その他の甲状腺疾患として

(3)亜急性甲状腺炎
(4)甲状腺腫瘍
などもある。