こんにちは。院長の釜萢です。
先日、腹痛・背部痛(お腹と背中の痛み)で、40歳代女性の患者さんが来院しました。
少し熱っぽいとのことでしたが、それ以外、はっきりした症状なし。
本人は、胃痛がつらいので受診したとのこと。
話を聞いていると、いくつか腑に落ちない点があり、診察をしてみて、やはりこれはおかしいと確信しました。
普段は胃痛のみの症状の方に、採血をすることはないのですが、その日は迷わず採血・採尿。
(検査や所見などは、個人が特定されないよう割愛します。)
翌朝、血液検査の結果を見て、緊張が走りました。
AST 150(40以下)、ALT 140(40以下)、γGTP 150(50以下)と、
肝機能(肝臓の具合)に関わる項目が、いずれも正常値の3倍以上に上昇していたのです。
急いで本人の携帯に連絡し、病状を伝え、来院してもらいました。
患者さんは、私の話を聞きながら、
始めのうち、状況がよくわからなかったようでしたが、徐々にその意味合いがわかってくると、とっても不安そうな表情に変わっていきました。
私は、患者さんが過度な不安を抱えないよう説明をし、
急いで大きな病院と連絡を取り、そこの外来を受診してもらいました。
今回、たまたま腹痛と背部痛(お腹と背中の痛み)を生じたために、当クリニックを受診してもらえましたが、
もし症状が何もなければ、危険なところでした。
まだ、正式なお返事(お手紙)が返ってきていないため、詳細は分かりませんが、
大きな病院へ向かう直前に、今まで話してもらえていなかったいろんな情報を話してもらえました。
そして、命の恩人なみに、感謝されました。
この2日間で難しいと感じたのは、
「患者さん本人には、気が付きにくい自覚症状がある」。
言い換えると、「我々にとっての大切な情報(症状を含め)が、患者さんにはわからない」ことです。
患者さんは一般的に、医学的な専門知識はほとんどないわけですから、それはある程度、やむを得ないことになる。
しかし、患者さん一人の診察に使える時間、その場にある検査機器の種類、がクリニックでは限られていることを考えると、
その中で、いかに診察、診断の精度を上げていけるかは、
どれだけ短時間に、患者さんとの信頼関係を作り、大切な情報を引き出せるかがとても重要、ということになります。
我々医師は、知識や技術を日々アップデートしていく必要があるのは当然ですが、
それに加え、患者さんとのコミュニケーションがどれだけうまくいくかで、(クリニックでは特に)
患者さんの満足度も変わり、さらには診察や診断のレベルが大きく変わることを、再認識した出来事でした。
【当クリニックでは、糖尿病・高血圧を中心に生活習慣病の診療の他、一般内科の診療や健康診断も行っています。検査内容も含め、何かございましたら、お気軽にお電話ください。】
(電話をかける⇒03-6450-8506)
(患者さんの年齢・性別・症状などは、個人が特定されないよう、変更して記載している場合がございます。ご了承ください。)