HbA1c高いと
診断された方へ
HbA1cは、ヘモグロビン・エー・ワン・シーと呼びます。ヘモグロビンは、赤血球中にあるタンパク質を指し、HbA1cはヘモグロビン中で結合しているブドウ糖の割合(%)を示します。
主に、糖尿病の診断や治療の経過を確認する検査項目です。HbA1cの値が高いということは、糖尿病の可能性が考えられます。HbA1cは検査の1~2カ月間の血糖値を示します。HbA1cの正常とされる基準値は5.6%です。これ以上の数値の場合は、糖尿病予備軍とされます。この場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めしております。糖尿病は、早期段階で食事療法・運動療法を開始し、必要に応じて食後高血糖改善薬を用いることで、糖尿病の発症を防ぐことができます。
なお、HbA1cが7.0%以上の場合は、すでに糖尿病合併症が進んでいることがあります。自覚症状がなくても速やかに医療機関を受診することをお勧めしております。
HbA1c値と糖尿病の合併症
糖尿病の合併症には、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害があります。これらを、糖尿病の「3大合併症」と言います。高血糖状態が長く続くことで、血管が傷つけられて次第に動脈硬化を引き起こします。糖尿病性網膜症は、眼の中の血管が傷つくことで視力が落ちます。
また、糖尿病性腎症は腎臓機能の低下が起こり、糖尿病性神経障害は手足の痺れが起こり、感覚が鈍くなります。特に、糖尿病だけではなく高血圧や脂質異常症、肥満などがある方は、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症、閉塞性動脈硬化などの合併症になりやすいとされています。
血管障害は、HbA1cが7.0%以上になると増え始めます。このため、HbA1c7.0%を治療目安として、7.0%以上の場合は速やかに医療機関を受診してください。
糖尿病3大合併症
糖尿病性網膜症
HbA1cが高い状態が長く続くと、網膜に血管障害が起こります。高血糖によって細い血管が傷つき、網膜に栄養不足や酸素不足が起こります。さらに、新生血管を作って栄養不足を補おうとします。この新生血管は非常に脆く、破れやすい性質があるため、出血を起こします。繰り返し出血することで、次第に視力が低下して最後は失明に至ることがあります。
糖尿病性腎症
糖尿病3大合併症のうち、最後に発症するのが糖尿病腎症です。高血糖によって腎臓血管に障害が起こります。次第にタンパクが尿中に漏れ出し、尿たんぱくが増加します。重度になると腎臓透析による治療が必要となってしまうため、注意が必要です。
糖尿病性神経障害
3大合併症のうち、まず起こるのが神経障害です。つま先の痺れ、ピリピリ感、感覚が鈍るなどが起こります。これは、下肢の感覚神経の血管が障害されることが原因です。物に触れた時の感覚が鈍くなるため、硝子の破片や画鋲を踏んでも気付かないことがあります。足の感覚や物に触れた時の感覚、暑さや冷たさの感覚に異常を感じた場合は、糖尿病合併症の初期症状の可能性があるため、速やかに当院までご相談ください。これらの症状を見逃して病気が進行すると、足の感覚がなくなり、皮膚に潰瘍や壊疽が進んでしまいます。傷があっても痛みを感じなくなり、壊死や切断となることもあります。
動脈硬化
高血圧や脂質異常症、肥満、糖尿病などの生活習慣病は、合併することで動脈硬化の速度が上がります。さらに、脳梗塞や心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症を発症するリスクが高まります。特に、40~60代に多く見られるのが心筋梗塞です。当院では、血管年齢検査、心臓超音波検査、ホルター心電図などの検査を実施しております。心筋梗塞は、定期的に上記の検査を受けることで予防できます。動脈硬化が気になる方は、定期的に検査を受けることをお勧めしております。
HbA1cが高い場合の
検査・治療
当院では、血液・尿検査、著しい高血糖が疑われる場合は簡易血糖測定も行い、食事・運動療法のほかに、必要に応じた薬物治療(インスリン治療、GLP-1など含む)を開始します。
検査
まずは問診を行います。これまでの健診の結果や既往歴、家族歴、生活習慣などについて丁寧にお伺いします。
その後、血液検査、血糖測定、心電図、尿検査、血管年齢検査を行います。
治療
主な治療方法は、食事療法・運動療法・薬物療法です。患者様の状態や数値によって、治療方法は異なります。
当院では糖尿病を専門とする医師が治療を進めております。HbA1cが高い方、糖尿病合併症が心配な方は、まずは当院までお気軽にご相談ください。
Hba1cを下げる食べ物、
食品(食事療法)
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、血糖値の長期間の平均値を示す指標です。HbA1cを下げるためには、食事選びが重要です。
以下にHbA1cを下げる食品や食べ物の一例を挙げますので、日々の食生活にお役立てください。
繊維豊富な食品
野菜、果物、全粒穀物などの繊維を多く含む食品は、血糖値の急激な上昇を抑える助けとなります。繊維は消化吸収を緩やかにし、血糖値のコントロールに寄与します。
低GI食品
低いグリセミック指数(GI)を持つ食品は、血糖値の上昇を穏やかにします。例えば、野菜、豆類、全粒穀物は低GI食品です。
良質なタンパク質
魚、鶏肉、豆腐、納豆などの良質なタンパク質は、血糖値の上昇をコントロールする助けになります。
健康的な脂質
健康的な脂質を摂ることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。オメガ-3脂肪酸を含む魚や、オリーブオイルなどが該当します。
食事のバランス
食事全体のバランスが重要です。過度の糖分やカロリーを制限し、栄養豊富な食品を摂ることで血糖値のコントロールが促進されます。